2015年6月4日木曜日

全国 墨書土器出土件数ベスト20遺跡

「全国墨書・刻書土器データベース(CSVファイル) 明治大学日本古代研究所」には11万7千件のデータが収録されていますが、そのデータを使って遺跡毎に出土件数を集計してみました。

集計した結果により、上位20遺跡の表と分布図をつくってみました。

八千代市白幡前遺跡の墨書土器出土件数が全国的にみるとどのあたりにランクされるのか知りたかったので、集計したみたのです。

結果は次の通りです。

全国 墨書土器出土件数ベスト20遺跡 一覧表

集計では例えば「○○遺跡(第△次)」とか、「○○遺跡 △地区」などは「○○遺跡」に情報を統合しました。

全国 墨書土器出土件数ベスト20遺跡 分布図

八千代市白幡前遺跡は10位でした。

また、これまで、千葉県では白幡前遺跡が墨書土器出土数で第1位であると考えていましたが、そうではないことを確認できました。これまで千葉県内の墨書土器出土数の集計は「千葉県の歴史 資料編 古代 別冊出土文字資料集成」を用いていたのですが、この資料以降の発掘により鳴神山遺跡(印西市)、上谷遺跡(八千代市)の出土数が白幡前遺跡より凌駕したようです。

分布図を見ると、平城京から東北へ向かう太平洋岸ルートと日本海ルート沿いにほとんどの墨書土器出土件数ベスト20遺跡が分布しているように見えます。

白幡前遺跡を含む千葉県4遺跡の集中は、この付近が蝦夷戦争のおける重要な兵站基地地帯であったことを物語っていると考えます。

上吉田遺跡、矢玉遺跡(ともに会津若松市)は日本海ルートと山王遺跡(多賀城市)を結ぶ結節点にあるように感じます。

墨書土器は官人が組織活動を行った場所でひろめられた風習であり、今風に言えば自己啓発活動(やる気を起こす活動)の個人用ツールであったと考えます。

律令国家が蝦夷戦争に全力をあげていた頃、これらの20遺跡が全国的に見ても最も官人の組織活動が盛んであったと考えます。

組織活動とは兵士を募集し、訓練し、必要な食料・衣服・武器等を与えて戦地に輸送することを軸に、そのために必要な食料・軍需品生産、戦勝祈願、輸送活動などをイメージします。


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【メモ】
個別遺跡毎の出土件数カウントをExcelのマクロで行いましたが、11万7千件全部を一緒に集計することはできませんでした。
メインメモリ(物理メモリ)は沢山残っているのですが、CPU使用率が100%に達した後、「リソースが足りません」になってしまいました。
結局ファイルを2分割して集計し、集計結果を集成して統計をとりました。

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