2015年6月7日日曜日

全国墨書土器 出土文字出現数ベスト50

全国墨書土器・刻書土器データベース(CSVファイル)明治大学日本古代研究所の117000件の情報を釈文情報毎に集計して、出土文字出現数ベスト50を求めてみました。

全国墨書土器 出土文字出現数ベスト50
釈文情報に文字内容がないデータは省いてあります。(例「□」、「□(則天文字)」など)
なお、例えば「大」、「大ヵ」、「□(大)」、「□(大ヵ)」などは別に集計されています。

千葉県のあるいは花見川-平戸川筋の古代遺跡から出土する墨書土器の文字と比較するための参考とするために集計してみたものです。

この結果をざっと見ると次のような感想が生れます。

・「×」(バツ)(及び「+」(プラス)を合わせて)が一番多く、魔除け記号を想定させます。

・記号として「━」(ヨコボウ、マイナス)、「=」(イコール)が出てきます。その意味を今後検討したいと思います。

・「○」が出土します。白幡前遺跡出土の「○」は則天文字の「星」として解釈し、具体的には白星(勝利)を意味すると考えました。

・数字として「十」、「万」、「千」、「七」、「三」、「一」が出土します。「十」、「万」、「千」は事物が豊富であることの祈願、「七」は七福神などで用いられるようなラッキーセブンの意味を、「三」は物事の基本的要件を3つに分類する思考の中で、それらの調達を、「一」は一番(トップ)であることの祈願に、それぞれ関連すると考えます。

・生活に関わりの深い地物を表現する文字が出土します。「井」、「田」、「山」、「木」、「白田」、「土」、「川」など。
地域開発に関わる祈願と関連する言葉であると考えます。

・「生」は白幡前遺跡で多出する出土文字で、戦死回避の意味として考察しました。「生」はおそらく単純な延命とか病魔から逃れるという静的な祈願語ではなく、身に迫る白兵戦を想起して、その場で相手を殺して自分は生き延びたいという極めてアクティブな思考を伴う祈願語であると考えます。

・「寺」が多いことに驚きます。白幡前遺跡における検討では、寺院活動と墨書土器活動との間に強い相関を感じることができませんでした。全国的にみて「寺」文字がベスト10に入っているという意味を今後検討して、その検討結果を白幡前遺跡の検討にフィードバックしたいと思います。

・「王」の意味は天皇のことであるか、魔王などの悪神の意味であるかケースバイケースとは思いますが、悪神の場合が多いのではないかと考えます。

・方向を指示する言葉が出現します。「東」、「西」、「南」はそれぞれケースバイケースとは考えますが、具体的な意味を込めていると考えます。「東庄」は千葉県東庄町の例を含めて古代荘園の固有名詞に対応すると考えます。

・「大」(大きくありたい)、「上」(出世したい)、「善」(よくありたい)、「成」(達成したい)、「吉」(よくありたい)、「足」(不足を補いたい)、「得」(獲得したい)、「福」(富栄えたい)、「本」(根元となるものを得たい)、「長」(長寿でありたい)、「冨」(富栄えたい)、「有」(獲得したい)、「厨」(食料が豊富でありたい)、「太」(多くありたい)、「子」(子どもが欲しい)、「真」(祈願する内容が本当であってほしい)、「網」(魚や鳥を捕りたい)などはそれぞれの字義通りの祈願語であると考えます。

・「中」、「由」、「人」、「主」、「平」、「内」、「白」なども言葉に含まれる字義による祈願語であると考えることができます。

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